これからトレーニングを始めようとしている方、始めて数ヶ月の方、あるいは何年も継続されている方。 このブログを読んでいる方の「トレーニング歴」は様々だと思います。
しかし、全員に共通する**「効果を最大化するための絶対条件」が一つだけあります。 それは、「継続」**です。
正直なところ、初心者の方にとっては「何をするか(What)」よりも「続けること」の方が何倍も重要です。コンテストに出る選手やトップアスリートでない限り、細かい種目選びで悩むよりも、まずはジムに行く回数を増やす方が体は変わります。
成果がでている方が意識できていること、それが「トレーニングの原理原則」**です。
ネットで検索すると「3原理5原則」など、難しそうな言葉がたくさん出てきますよね。 教科書的には全て覚えるのが正解ですが、現場で指導している私の感覚からすると、特に重要なのは以下の4つに絞られます。
- 過負荷の原理(オーバーロード)
- 漸進性の原則(少しずつレベルアップする)
- 特異性の原理(やったことしか身につかない)
- 可塑性の原理(体は変わるし、元に戻る)
「頑張って続けているのに、最近体が変化しない……」 もしそう感じているなら、この4つのうちのどれかが抜けている可能性が高いです。
これらを知っているだけで、トレーニングの質が劇的に変わります。一つずつ、分かりやすく紐解いていきましょう。
1. 過負荷の原理 (Principle of Overload)
「身体は、慣れている以上の負荷を与えられたときのみ適応(成長)する」
これはトレーニング効果を得るための最も根本的な原理です。日常生活や現在の体力レベルと同じ強度の刺激を与え続けても、身体はその刺激にすでに適応しているため、それ以上の変化(筋力向上や筋肥大など)は起こりません。
- ポイント:
- 恒常性(ホメオスタシス)の打破: 身体の内部環境を一定に保とうとする働きを崩すほど強い刺激が必要です。
- 負荷の要素: 重さ(強度)だけでなく、量(回数・セット数)、頻度、休息時間の短縮、種目の難易度など、様々な要素で「過負荷」を作り出すことができます。
- 実践例:
- ベンチプレスで10回挙上できる重量が楽になったら、重量を増やすか、回数を12回に増やす。
2. 漸進性の原則 (Principle of Progression)
「負荷は、適応に合わせて段階的かつ計画的に高めていく必要がある」
過負荷の原理とセットで考える必要があります。急激すぎる負荷の増加はオーバートレーニングや怪我の原因となり、逆に負荷が変わらなければ成長は停滞します。「徐々に(漸進的に)」強めていくことが長期的な成長の鍵です。
- ポイント:
- 適切なタイミング: クライアントのトレーニングステータス(初心者か上級者か)に応じて、負荷を上げるペースを調整します。
- 2-for-2 ルール: NSCAが推奨する負荷設定の目安です。「特定の種目で、目標回数以上の反復が2セッション連続で2回以上できた場合、次のセッションで重量を増やす」という基準です。
- 実践例:
- 今週50kgでトレーニングできたら、翌週いきなり60kgにするのではなく、52.5kgに設定する。
3. 特異性の原則 (Principle of Specificity)
「身体は、与えられた特定の刺激に対してのみ適応する」
NSCAではSAIDの原則(Specific Adaptation to Imposed Demands:課せられた要求に対する特異的な適応)とも呼ばれます。トレーニングの効果は、行った運動の種類、動作、エネルギー供給系に限定されます。
- ポイント:
- 動作の特異性: スクワットをすれば脚の筋力は上がりますが、それが直接的に水泳のキック力向上に直結するわけではありません(動作パターンが異なるため)。
- エネルギー系の特異性: マラソン(有酸素性)の練習をしても、短距離走(無酸素性・ATP-CP系)のパフォーマンスは最大化されません。
- 速度の特異性: 重いものをゆっくり持ち上げるトレーニングだけでは、爆発的なスピード動作は向上しにくい傾向にあります。
- 実践例:
- ジャンプ力を上げたい場合、ただ脚を太くするだけでなく、実際のジャンプ動作に近い「パワークリーン」や「プライオメトリクス」を取り入れる。
4. 可塑性の原則 (Principle of Plasticity)
「神経・筋システムは、環境や刺激に応じてその性質や構造を変える能力(可塑性)を持つ」
これは「トレーニング方法のルール」というよりは、「なぜトレーニングで身体が変わるのか」という生物学的な根拠にあたります。NSCAの生理学分野では「神経可塑性(Neural Plasticity)」や「筋の可塑性」として頻繁に語られます。
- ポイント:
- 適応の基盤: 筋肉は遺伝的に決まった性質を持っていますが(遅筋・速筋の割合など)、トレーニング刺激によって、筋繊維の肥大、酵素活性の変化、毛細血管密度の変化などが起こります。これが可塑性です。
- 神経系の適応: 特にトレーニング初期の筋力向上は、筋肉そのものが大きくなる前に、神経系の適応(運動単位の動員数増加や同期化)によって起こります。これも神経系の可塑性によるものです。
- 可逆性との関係: 可塑性は「変わることができる」性質なので、良い方向(トレーニング効果)にも、悪い方向(脱トレーニングによる機能低下)にも働きます。使わなければ元に戻るという「可逆性の原理」の裏付けでもあります。
- 実践例:
- 長期間トレーニングをしていた人が怪我で休むと筋肉が細くなる(負の可塑性)。しかし、再開すれば「マッスルメモリー(核の数は維持される等の説)」により、比較的早く元の状態に戻る(正の可塑性)。
宝くじやギャンブルのように一攫千金を狙うものではありません。健康とは地道な積み重ねをどれだけ長く継続できるかにあると思います。10年20年と長い期間運動できずに体力や気持ちが落ちこんだ場合は同じ期間をかけて地道に取り組むべきだと思います。
塵も積もれば山となる

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