休むこともトレーニング:自律神経をコントロールする

コラム

健康を維持するために、みなさんは何をしていますか?

「運動」や「食事」と答える方が多いでしょう。もちろん、それらは非常に大切です。しかし、それら全てを裏でコントロールしている「真の司令塔」の存在を忘れてはいけません。

それが、「自律神経」です。

心臓を動かす、呼吸をする、食べたものを消化する。これらは私たちの意思とは関係なく、24時間365日、勝手に行われています。この生命維持システムを自動操縦しているのが自律神経であり、これには「2つのモード」が存在します。

車に例えるなら、「アクセル」と「ブレーキ」です。

一つ目は、アクセル役の「交感神経」

これは別名「戦いの神経」とも呼ばれます。原始時代で言えば、猛獣に出くわした時の状態です。「戦うか、逃げるか」。

心拍数を上げ、筋肉を緊張させ、血糖値を上げてエネルギーを爆発させる。トレーナーの視点で見れば、筋トレ中やスポーツの試合中は、まさにこのスイッチが全開になっています。ここぞという時にパフォーマンスを発揮するためには、なくてはならない機能です。

二つ目は、ブレーキ役の「副交感神経」

こちらは「休息と回復の神経」です。リラックスしている時、寝ている時、美味しいご飯を食べている時に働きます。

心拍数を下げ、筋肉を緩め、消化吸収を促進し、体のダメージを修復する。いわば、車のメンテナンス工場に入っている状態です。

健康とは、この**「アクセルとブレーキの切り替え」**がスムーズに行われている状態を指します。

昼間はアクセル全開で活動し、夜はブレーキを踏んでしっかり直す。これが理想の「Tao(道)」であり、バランスです。

しかし、現代人の多くはこのバランスが崩壊しています。

もっと言えば、「ブレーキが壊れたまま、アクセルを踏み続けている」のです。

長時間のデスクワーク、人間関係のストレス、寝る直前まで見続けるスマホのブルーライト。これらは全て、脳に「戦え!」という信号を送り続けます。すると、体はずっと交感神経優位(戦闘モード)のまま。

結果、消化機能は抑制され、睡眠は浅くなり、疲労は抜けず、免疫も落ちていく。「何もしていないのに疲れている」という謎の不調の正体は、この「自律神経のオーバーヒート」にあることがほとんどです。

私たちは「頑張ること(アクセル)」は得意ですが、「緩めること(ブレーキ)」が驚くほど下手です。

だからこそ、これからの時代に必要なのは、意識的に「副交感神経を鍛える」という発想です。

方法は難しくありません。今日からできる「ブレーキの踏み方」がいくつかあります。

まずは「深呼吸」。

緊張している時に「深呼吸して」と言うのは、理にかなっています。ゆっくりとした腹式呼吸は、強制的に自律神経のスイッチをリラックスモードに切り替える最強のスイッチです。

次に「入浴」。

シャワーだけで済ませず、38〜40℃くらいのぬるめのお湯に浸かること。これで体は「あ、もう戦わなくていいんだ」と認識します。

そして「食事」。

「よく噛む」という行為自体が、消化を司る副交感神経を刺激します。早食いは、体にストレスを与えているのと同じです。

交感神経(戦い)と副交感神経(癒し)。

どちらが良い悪いではなく、重要なのはそのバランスです。

トレーニングで体を追い込むのと同じくらい、あるいはそれ以上に、「リラックスすること」に本気になってみてください。

「休むこと」はサボりではありません。明日またアクセルを全開にするための、積極的な戦略なのです。

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